現代風俗研究会「東京の会」で研究報告をおこないます。科学研究費(若手B)「「つながり」のメディア史」(課題番号23701010)と、財団法人電気通信普及財団「技術思想としてのアマチュアリズム」の助成を受けた研究の経過についてお話しする予定です。
【日時】2013年5月18日(土曜日)午後3時~6時
【テーマ】「趣味のテレビジョン ―技術思想としてのアマチュアリズム」
【報告者】飯田豊
【司会】神野由紀
【コーディネイター】加藤裕康
【報告要旨】
報告者はこれまで、日本における初期テレビジョンの技術史に取り組んできました。具体的には、定時放送の開始(1953年)に先立って、博覧会や展覧会、百貨店の催事場などで人気を博していた公開実験に焦点をあて、当時いかなる利用の可能性が構想されていたのかを調査しています。
この研究会では、「趣味の風俗」という年間テーマに応えるかたちで、アマチュアによるテレビジョンの工作文化に焦点を当てたいと思います。日本では十五年戦争を挟んで、1930年頃と1950年頃の二度、受像機の自作ブームが起こっていました。
まず1930年頃には、かつてラジオの可能性に魅了されたアマチュア無線家たちが、ようやく欧米で芽生えつつあったテレビジョン技術に、新しい研究対象のひとつとして関心を向け、いち早く啓蒙活動を展開していました。この時期、アマチュアを対象とするテレビジョン製作の解説書も数多く出版されています。「趣味のテレビジョン」という報告タイトルは、そのうちの一冊の書名を借用しました。
それに対して1950年頃には、テレビの普及はアマチュアから生じるという見通しを持っていたNHKが、趣味としての受像機製作を促していました。彼らの多くは家庭にいち早く受像機を導入したうえ、全国各地で電器店を営んでいた者も少なくなかったため、受像機の普及に大きな役割を果たしたと考えられます。
メディアの技術史においては、しばしば「アマチュア」の存在が注目されます。ラジオの黎明期は言うまでもなく、コンピュータやネットワークの発展においても、マイコン文化やハッカー文化が重要な役割を果たしてきました。もっとも、電子工学や情報科学の進展にともない、専門家と非専門家が決定的に峻別されていくにしたがい、「アマチュア」の意味は大きく変わっていきます。技術史が「アマチュア」に注目する事由も、時代ごとに異なっていると言えるでしょう。この報告では、二度にわたるテレビジョン受像機の自作ブームを比較することを通して、いわば“技術思想としてのアマチュアリズム”の変容を素描することを目指したいと思います。
【懇親会のご案内】
毎回、教室終了後、懇親会を開いています。
手弁当でご報告いただく報告者へのささやかなお礼の意味を持っています。教室では聞けなかった話や質問などの機会でもあります。この懇親会にも、ご参加くださいますようお願いいたします。
【参加費】
教室では、毎回、会場費として100円を集めています。
ご協力をお願いいたします。事前に参加申請する必要はありません。直接、会場へお越し下さい。
【会場】
関東学院大学 関内メディアセンター(8階) M—808会議室
※ 当日はビルの正面入り口が閉まっています。夜間通用口をご利用ください。
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