2017年8月19日土曜日

【研究会】8/19(土)「デジタル時代の次元の折り重なり」(於:MEDIA SHOP)


第4回新視覚芸術研究会「デジタル時代の次元の折り重なり」

 日時:8月19日(土)12時30日〜16時
 場所:京都 MEDIA SHOP
 パネリスト:水野勝仁(甲南女子大学)
       永田康祐(アーティスト/東京藝術大学)
       馬場伸彦(甲南女子大学)
       飯田 豊(立命館大学)

ヒトは三次元の物理空間を絵画や写真といった二次元の平面に変換してきた.次元の折り重ねが最も成功したのは,ボタン一つで撮影できる写真であろう.写真は三次元を二次元に落とし込み,二次元のなかに三次元を見せる.写真の平面には二次元と三次元とが折り重なっている.そして,20世紀はまさに写真と映画とが見せる次元の折り重ねを見続け,考え続ける時代であった.

20世紀後半にテレビ,そして,コンピュータが登場し,写真・映画の次元の折り重ねに変化が起きた.テレビは三次元を一次元の電気の流れに,コンピュータは三次元を一次元の情報の流れにした.三次元から一次元へと変換され,写真・映画がもつ世界をそのまま写し取るインデックス性が曖昧になった.しかし,コンピュータは写真や映画に擬態して,世界をそのまま写し取っているように見せている.あるいは,写真・映画のインデックスを保持しようとコンピュータがプログラムされていると言ったほうがいいのかもしれない.コンピュータはインデックス性を絶対的なものとしないため,どんなものにも擬態できるのである.

コンピュータ科学者のアラン・ケイは,「Doing with Images makes Symbols(イメージを操作してシンボルをつくる)」というスローガンを掲げて,コンピュータの画面のほとんどを占めているグラフィカル・ユーザ・インターフェイス(GUI)を完成させた.コンピュータにはプログラムというシンボルとディスプレイ上のイメージがあり,これらを操作できる.イメージを操作すればプログラムが動き,プログラムを操作すればイメージが変化する.コンピュータは三次元の物理世界をプログラムという一次元の流れで制御し,それをディスプレイが提供する二次元の光平面に表示する.ディスプレイのイメージは一次元のプログラムと三次元に位置するヒトから操作されている.

20世紀を支配した映画・写真がインデックス性を絶対視するものだったのに対して,21世紀のイメージを担うコンピュータはインデックス性が曖昧になっている.その代わりに,コンピュータは物理世界から遊離した一次元のプログラムと二次元のディスプレイと三次元のヒトとが折り重なる場となっている.だとすれば,コンピュータを経由することで,二次元のディスプレイに表示されているイメージを三次元の物理空間に折り返して重ねることが可能なはずである.今はまだ二次元の平面に縛られている状態ではあるけれど,いずれは三次元そのものを操作可能にしていき,次元を自由に折り重ねた表現を生み出すだろう.コンピュータとともに生まれる次元の折り重なりとその表現を考えたい.


 

2017年7月8日土曜日

【研究会】8/5(土)光岡寿郎『変貌するミュージアムコミュニケーション―来館者と展示空間をめぐるメディア論的想像力』を読む(於:東京大学本郷キャンパス)

東京大学の院生さん有志が企画した、下記の書評会に参加させていただきます。事前申込みが必要ですので、よろしくお願いします。


このたび、6月に『変貌するミュージアムコミュニケーション:来館者と展示空間をめぐるメディア論的想像力』(せりか書房)を出版された光岡寿郎氏をお招きし、同書の合評会を開催することとなりました。同書は、英米圏のミュージアムにおけるコミュニケーション概念の歴史的変遷を描き、ミュージアムを多様なコミュニケーションを媒介するメディアの構造体<メディア・コンプレックス>として捉え直したものです。評者には、それぞれメディア研究、ミュージアム研究、学習研究と異なる研究分野を持つ皆さんにご登壇頂き、ご自身の問題関心に沿って、論点の共有を図ってもらいます。その後は、光岡氏からの応答に留まらず、参加者の皆さんと活発な意見交換ができればと考えています。本会は、公開研究会です。ミュージアムをフィールドに、まさに学際的な議論が展開されるはずですので、奮ってご参加ください。

日時:2017年8月5日(土)15:00-17:00
場所:東京大学本郷キャンパス 福武ホール1階 会議室 
赤門を入って左折。手前に見えるコンクリート建築の一階。会場は施錠されておりますので、時間に遅れる方は問い合わせメールアドレスまでご連絡下さい。
詳細:http://fukutake.iii.u-tokyo.ac.jp/access/

登壇者:
評者  飯田豊(立命館大学産業社会学部准教授)
    潘夢斐(東京大学学際情報学府博士課程)
    杉山昂平(東京大学学際情報学府博士課程)
応答者 光岡寿郎(東京経済大学コミュニケーション学部准教授)
司会  藤嶋陽子(東京大学学際情報学府博士課程)

主催 東京大学大学院学際情報学府学生有志(藤嶋陽子・潘夢斐・杉山昂平)/KoSAC
参加無料・一般参加歓迎(会場準備の都合上、下記まで事前のご連絡をお願いいたします)
※終了後、懇親会を予定しております。(本郷周辺)

申し込み方法
7月28日までに、下記の問い合わせ先アドレスに下記を記載のうえお申込み下さい。
1 お名前 ②ご所属 ③連絡先emailアドレス ④懇親会参加の有無
問い合わせ先 藤嶋陽子 yokofujishima[at]g.ecc.u-tokyo.ac.jp


2017年7月7日金曜日

2017年5月18日木曜日

【エッセイ】横山裕さん(関ジャニ∞)主演舞台『上を下へのジレッタ』に寄せて


横山裕さん(関ジャニ∞)主演の舞台『上を下へのジレッタ』の劇場販売用パンフレットに寄稿しました。出演者は他に、中川翔子さん、浜野謙太さん、竹中直人さんといった豪華な顔ぶれで、脚本・演出は倉持裕さん。観劇するのが楽しみです。

手塚治虫が1968年、当時のテレビ業界を舞台に描いた漫画が原作。僕は「アフター・テレビジョンの考古学 ―ハプニング、宇宙中継、そして大阪万博」というタイトルで、メディア史の観点からの考察を書きました。


2017年4月17日月曜日

【編著】『メディア技術史 ―デジタル社会の系譜と行方[改訂版]』(北樹出版、2017年)


2013年刊行の編著『メディア技術史 ―デジタル社会の系譜と行方』(北樹出版)の改訂版が発売されました。

<改訂にあたって> 
幸いなことに、初版はたくさんの読者に恵まれ、大学でも多くの講義やゼミで講読していただいている。そして2015年には、エルキ・フータモの論文集『メディア考古学―過去・現在・未来の対話のために』(NTT出版)が刊行されるなど、メディア技術の〈歴史〉と〈現実〉を往還する思考のあり方には、ますます関心が高まっているように思われる。そしてなにより、初版を刊行して3年のあいだに、本書の執筆者はそれぞれ、注目に値する著書や論文、訳書などを精力的に発表し続けている。そこで改訂版の各章では、それぞれの技術の現況に関する記述を必要に応じて書き改め、新たな知見を踏まえたアップデートをおこなった。読者の皆さまのご批評を待ちたい。

2017年4月12日水曜日

【論文】「メディア・イベント概念の理論的再構築に向けて」『情報科学芸術大学院大学紀要』第8巻


情報科学芸術大学院大学(IAMAS)の紀要に、「メディア・イベント概念の理論的再構築に向けて」という論文を寄稿させていただきました。とても美しい装丁の紀要です。この論文のタイトルは、2016〜18年度の科研(若手B)の研究課題名でして、これまで2年間取り組んできた大阪万博研究の成果を紹介しつつ、今後の抱負を述べています。


2017年4月1日土曜日

【エッセイ】『民間放送』2017年3月13日号


『民間放送』(日本民間放送連盟の機関紙)3月13日号に、久しぶりにコラムを寄稿しました。「若者のテレビ離れ」ではなく、「若手研究者のテレビ離れ」の深刻さについて。


2017年2月1日水曜日

【エッセイ】『宣伝会議』2017年3月号


『宣伝会議』3月号に「可能性としてのキュレーション」という文章を寄稿しています。「課題解決の道筋を研究者と考える ―変化するメディアビジネスと広告倫理」という企画です。



   

2017年1月31日火曜日

【ラジオ出演】1/14(金)RCC(中国放送)ラジオ「勝手にトークひろしま!」


久しぶりにRCCラジオ「勝手にトークひろしま!」に出演しました。「ソーシャルメディアを語ってみた2017」というテーマで22時から2時間、ニコ生はさらに30分の延長で、合計2時間半のトーク。ゲストは「ラジプリズム」パーソナリティのカンダマサヨシさん、元AKB48の小原春香さん、飯田の3名。MCは平尾順平さん、キムラミチタさん。

ツイッターのハッシュタグ(#kt_h と #rccrp)もニコ生の弾幕も盛況で、どちらも暖かいコメントばかりで感謝。普段はそれほどネットの反応を追えないらしいけど、今回はミチタさん、カンダさん、僕が三人がかりで、コメントを積極的に拾えたのは良かったと思います。


 

2016年11月25日金曜日

【研究会】12/17(土)今野 勉+松井 茂+飯田 豊「いま、テレビになにが可能か ―その草創期から問いなおす」(於:成蹊大学サテライト・オフィス)

今野 勉+松井 茂+飯田 豊
「いま、テレビになにが可能か ―その草創期から問いなおす」

 飯田豊は今年、『テレビが見世物だったころ ―初期テレビジョンの考古学』(青弓社)を刊行しました。本書は、かつて実用化を目指して開発が進められていたテレビジョン技術が、戦前の博覧会や展覧会での公開実験、あるいは戦時下の実験放送などを通じて、繰り返し一般に公開されていたという事実に光を当てています。われわれが慣れ親しんできた「テレビ」のあり方を前提として、その歴史をさかのぼって捉えるのではなく、かつて「テレビジョン」という技術に開かれていた可能性の系譜を描こうとしました。映像端末が急速に多様化し、日常生活のいたるところにスクリーンが遍在している現在、テレビのあり方が急速に拡散していく中で、逆に、いくつもの「テレビジョン」がひとつの「テレビ」に収斂していった過程をたどることが、広い歴史的構図のもとでテレビの将来を展望する手掛かりになるのではないかという問題意識にもとづいています。
 この試みが成功しているかどうかはともかく、先行きが不透明なテレビのあり方を再考するために、その草創期を根源的に問いなおすことが、ますます重要になっていることは間違いありません。そこでこの研究会では、半世紀以上にわたってテレビ・ディレクターとして活躍していらっしゃる今野勉さん(テレビマンユニオン)と、戦後日本のマスメディアと現代芸術との関係性について鋭い考察を続けている松井茂さん(IAMAS)のお二人をゲストにお迎えし、テレビ史研究の現代的意義と今後の課題について語り合います。参加者の皆さんと一緒に、じっくりとお話ししたいと考えていますので、ぜひふるってご参加ください。

日時:
 12月17日(土)15時~17時30分

会場:
 成蹊大学サテライト・オフィス(東京都千代田区丸の内3-1-1 国際ビル1階)

登壇者:
 今野 勉(テレビマンユニオン)
 松井 茂(情報科学芸術大学院大学 [IAMAS] )
 飯田 豊(立命館大学)

司会:
 伊藤昌亮(成蹊大学)

参加費:
 無料

事前申込:
 座席に限りがありますので、事前申込制とさせていただきます。
 magnet2016@iida-lab.orgまで、お名前とご所属をご記入の上、
 お申込ください。
 お問い合わせもこちらのメールアドレスにお願いします。
 定員に達し次第、申込を締め切らせていただきますので、
 あらかじめご了承ください。

主催:
 MAGNET(Media, Action, Glocal Network)