<写真提供:FM802>
12月14日(月)立命館大学産業社会学部メディア社会専攻の専攻企画として、山口一郎さん(サカナクション)の特別講義が開催されました。ゼミ生によるレポートはこちら。
飯田豊はこれまで、ラジオやテレビジョンなどの技術変容を辿ることで、他にあり得たかもしれない可能性を掘り起こすメディア考古学的な研究に取り組んできました。こうしたメディア理解は、「メディア・アート」や「メディア・デザイン」といった営みを支える思想とも結びついています。毛原大樹は2005年から「自由ラジオ」や「ラジオ・アート」等の電波メディアに興味を持ち、現在は京都・東山のHAPSスタジオを拠点に、使われなくなってしまったアナログのラジオ受信機やテレビ受像機、ビデオデッキなどの古いメディアを活用した制作やワークショップを展開しています。このイベントでは、それぞれ異なる角度から電波メディアにアプローチしている二人が、その可能性を歴史的に想像すること、実践的に創造することの魅惑についてお話しします。
「ソシオナイト」は、かたい話もやわらかい話も社会学的に取り上げるトークイベントです。英語で「社会」を意味する接頭辞「socio」は、スペイン語で「仲間」を指します。ソシオナイトは、おいしい料理を堪能しながら、登壇者と参加者が、ともに楽しく語らい合うことができる場です。
【出演】
飯田豊(立命館大学准教授)
優海(タレント)
加藤裕康(中央大学兼任講師)
【今回のお題】
メディアを語るとき、技術の視点が欠かせない。なぜなら、メディアは技術と密接に結びついて「発展」してきたからだ。でも、技術だけでメディアを語ることもできない。文化や政治、経済的な要因が密接にかかわり、メディアは形成される。
今回は、そのようなメディアと技術の深淵に『メディア技術史―デジタル社会の系譜と行方』(北樹出版)の編著者である飯田豊さんと光を当てます。
【日時】2015年9月19日(土)
トーク/18時半(18時開場)~20時半
懇親会/20時半~22時
【会場】スパイスロード ミトラ
東京都国立市東1-7-11 森田ビル2F
【料金】1500円(ワンドリンク付)
当日券のみ(定員20人)
定員を超えた場合は予備席になりますがご了承ください。
インド・ネパール料理もご注文いただけます。
(全品10%引き、コース料理はご提供できません)
【配信】トークイベントの模様は、Ustreamでネット配信(live)する予定です。チャンネル名「トークイベント ソシオナイト」
【概要】スクリーンに媒介されたイベント──パブリック・ビューイングやライブ・ビューイングなどの集団視聴、あるいは大規模なオンライン視聴をともなうイベント──が人口に膾炙している。本稿では、こうした文化現象の社会的機能を捉えるために、「メディア・イベント」概念の理論的射程を再検討することを目的とする。まず、日本におけるメディア・イベント研究の展開を跡付けると、歴史分析に厚みがある反 面、国際化と情報化にともなう今日的変容を分析しようとする機運は低調である。しかも今日では、イン ターネットやモバイルメディアの普及にともなう、複合メディア環境の特性を踏まえた理解が不可欠である。また、大衆を動員する手段としてメディア・イベントを捉える事例研究は豊富だが、たとえ受け手の主体性や能動性のあり方をいかに精緻に読み解いても、権力的作用の度合いに焦点化している限り、結局は〈動員/抵抗〉の二項対立に回収されてしまう。そこで、文化人類学における議論を補助線に,〈動員/抵抗〉という一元的な尺度とは異なる視角から、メディア・イベント研究の理論的再構築の道筋を示した。すなわち、〈真正さの水準〉という尺度を手放さず、参加者同士の水平性を注視することで、特定の嗜好性に支えられた集団の実践として境界付けるのではなく、逆に境界を曖昧化させる出来事として捉え直す余地を残しておくことが重要であることを論じた。メディア・イベントが受容されるのは、常設された受像機や常時携帯された端末を取り巻く日常的な視聴空間とは限らず、仮設のスクリーンに媒介された、より 短命な出来事(=仮設文化)でありうる。そこで最後に、おぼろげな出来事を体験した人びとの、かたちのない現実を読み取っていくための方法論のひとつとして、「グラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA)」を用いた分析の有効性を示した。
[Abstract] Screen-mediated collective action is widely popular today and includes public viewings and live viewings. Still, the fact remains that there is deep-rooted criticism concerning the “collective effervescence” of audience members. In this study, we aimed to examine the theoretical potential of “media events,” with the aim of empirically understanding the social function of this cultural phenomenon.
By genealogically tracing media events studies in Japan, we found that there is a wealth of historical studies on the topic, but on the other hand, there is a lack of contemporary studies on the influence of globalization and informatization. To begin a modern discussion of media events studies, we should take into account the characteristics of multimedia environments that include the popularization of the Internet and mobile media. At the same time, there are many case studies that regard media events as instruments for the mobilization of the masses. However, it is insufficient to describe audience subjectivity or activity empirically as a means to explain their multi-layered structure and the different measures resulting from the dichotomy between the mobilization and resistance models of thinking.
This study shows the way to achieve a theoretical restructuring of media events studies by using examples from anthropological interpretation. By paying close attention to the horizontal relationship between audience members, we can consider that collective action is not only an action of a hobby group supported by particular preferences, but also an event clouding the border of the social groups.
Media events are not accepted as an exclusively everyday viewing space on which permanent receivers or mobile devices focus on a daily basis. Instead, they are an “ephemeral culture.” With this in mind, the present study shows the efficacy of grounded theory approach analysis as one way to read the formless actuality through people’s indistinct experiences.
テーマ:「ラジオ・アートの思想と実践」
話題提供:毛原大樹(ラジオ・アーティスト)、飯田豊(立命館大学産業社会学部准教授)
日時:2014年1月28日(水)18:30〜20:00(18:00からスタジオ見学が可能です)
会場:HAPSスタジオ(元新道小学校・音楽室)
参加費:無料
アクセス:京都府京都市東山区小松町130
※ 建物入口が施錠されますので、18:45以降にお越しの方は、入口の貼り紙に記載された電話番号にご連絡ください。
主催:京都メディアフィーラムⅡ、立命館大学飯田豊ゼミ